ユーラシア大陸横断の旅
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イルクーツク市内
2005. 0319-0321
シベリアの中心都市・イルクーツク
イルクーツクは、シベリアのど真ん中という立地条件を考えると、とても立派な町だ。何しろ厳冬期には-40℃近くにもなり、1年の半分以上が氷点下である。こんな厳しい土地に50万人以上の人が暮らしている。

イルクーツク駅から市内へは、アンガラ川(エニセイ川の支流)を渡らなければならない。でかい河なので、渡るのにも相当距離がある。今夜宿泊するホテル・バイカルは、アンガラ川沿いにあるので、対岸から見えてはいるのだが、実際に歩き出すと遠い。日本での距離感が、ロシアでは全く通用しない。

アンガラ川に架かる橋の欄干付近には、注射器が散乱している。深夜にはこの辺りでパーティーでも開かれるのだろうか? ヨーロッパでは近年、麻薬汚染が深刻化しているが、こんなシベリアの町でも例外ではないらしい。底の厚い登山靴を履いているので、注射針を踏み抜く心配はないが、毎日の除雪作業で、橋の上の積雪は掻き回されている。うかつに雪の中に手を入れて、注射針でも刺さったら大変なので気をつけよう。しかしいくらラリってても、橋の上では寒すぎはしないか。アンガラ川はまだ半分ほど凍りついているのだ。


line     line   アンガラ川に架かる橋。イルクーツク駅から市内へ向かうには、この橋を渡る必要がある。   line


橋を降りる階段付近は、人通りもなく淋しい雰囲気。浮浪児がタバコをせびりにやってくる。ロシアでは日本よりもタバコが安い。気前よく1本渡すと、そいつを耳に挟んで、もう1本くれだと。まあいいが、こんな極寒の地でホームレス稼業がなりたつものなのだろうか。


line     line   アンガラ川。バイカル湖から流れ出る唯一の川だ。この季節、バイカル湖側へ向かうほどに凍りついている。   line


ロシアのホテルは、各階に服務員(ジジュールナヤ)がいる。外出の際は、この彼女たち(たいていは女性)に鍵を預けることになっている。なのでフロントに持って行っても受け取ってくれない。ただ困ったことに服務員の彼女たちは必ずそこにいてくれるとは限らないのだ。むしろいないことのほうが多かった。ボケーッと待ってるわけにも、あちこち開けて捜しまくるわけにもいかないので、「誰もいないから」と言ってフロントに鍵を預ける。

雪解け間近のシベリアの都市はヌチャヌチャのドロドロだ。汚れた雪が街を覆っている。水はけの悪いシベリアの黒土に、あちこち雪解け水の水たまり。車道を除雪した際の雪が、歩道側にてんこ盛りされるので、歩道が塞がっていたりもする。むろんとても歩きにくいのだが、地元の人たちはこんな道でもベビーカーさえ押しながら軽快に歩いていく。こちらは普通の道を歩くのの何倍も疲れる。ハイカットの登山靴を履いてきて正解。しかしジーンズの裾までドロドロだ。ところが不思議とロシア人たちの靴は汚れていない。道の選び方、歩き方にどうもコツがあるらしい。


line     line   教会。詳細は忘れた。そのうち調べますが、たぶんバガヤヴレーニエ寺院のはず。   line


イルクーツクは滞在中ほとんど吹雪だった。当たり前だが、ここでは雪が降ったからといって、はしゃいで遊んでる人は見かけない。昼間で-10℃ぐらい。春先のロシアは、防寒具をどの程度まで用意するのか判断が難しい。帽子も手袋も持たずに来たが、少し軽装すぎた。長時間外をウロウロしてるのには耐えられない。とにかく現地調達だ。たくさんの中国人が店を開いている、バラックをつらねたような野外市場で毛糸の帽子を買う。シャープカ(毛皮の帽子)は、高いし大げさだし、何より若い人はかぶってないのでやめておいた。
ちなみに中国とロシアは、1988年に相互ビザ免除制度を設けている。社会主義体制時代は、自国民の移動を厳しく管理していたために、ビザ免除もさほど有効ではなかったのだが、ロシアの“民主化”、中国の“改革・開放”以後は、飛躍的に両国間の往来が激しくなった。もちろん中国側からロシア側に移動する中国人たちが圧倒的に多い。なにしろロシア極東の人口は700万人程度、対して中国東北地方の人口は1億人を超えるのだ。


line     line   アンガラ川の支流にあたるウシャコフ川。ボートが無造作に積み上げられている。春が待ち遠しい。   line


イルクーツクの住宅は、木造が中心だ。ペンキが剥げかけて、板がめくれあがっている家も多い。最初はスラムかと思った並びも、家から出てくる人の身なりを見ると、どうも普通の住宅らしい。いったいいつから建っているんだろう。大きな通りを外れてみると、みすぼらしく閑散とした通りが目立つ。未舗装の荒れた道路は、巨大なぬかるみと化しており、ちょっと入っていく気になれない。街のメインストリートには、さすがに多くの人が集まっている。百貨店の前でラクダが見せ物になっていた。雪の降る街にラクダは似つかわしくない。こんな寒いところに連れてこられてラクダも災難だなあ。百貨店の中に入って暖をとる。店内にはJRのキオスクサイズのテナントがたくさん入っており、四方がガラス張りの箱がドカドカと適当に配置されている感じ。モノは豊富だが、ほとんどは中国から輸入されたもののようだ。


line     line   ズナメンスキー主教座教会。イルクーツクでもっとも古い、ロシア正教の修道院だ。町の外れにある。   line


ホテルに戻る。ここも水道管が錆びているのか、赤茶色のお湯が出る。…また電話だ。今度は娼婦から直接かかってきた。たどたどしい英語。強い口調でノーと言ったら、何だか淋しそうに電話を切った。物言いにうしろめたさや恥じらいがあって、ちっともプロっぽくない。ブルガリアの娼婦なら、もっとしつこく食い下がってくるものだが…。
 
 
アンガラ川
アンガラ川はロシア、シベリア南東部を流れる全長1840kmの川。エニセイ川の支流で、バイカル湖から流れ出す唯一の川である。
アンガラ川はバイカル湖の南西端、Listvyankaの近くから流れ出し、北に流れてイルクーツク、ブラーツクを通過、Ilim川と合流後西向きに流れを変えてStrelka近くでエニセイ川に合流する。
Ilim川との合流地点より下流はUpper Tunguskaと呼ばれる。イルクーツク、ブラーツク間は船の航行が可能である。ブラーツクより下流は早瀬が多い。ブラーツクには大きなダムと世界最大の水力発電所(4,500 MW)がある。また、イルクーツクにも水力発電所(660 MW)がある。


ホテル・バイカル
イルクーツク市最大のホテルで、かつてのインツーリスト・ホテル。「インツーリスト」の古い看板がまだ残っている。最初この古い看板の方が目についた。12階建ての近代的な建物で、レストランやバーや土産物店など、とりあえず一通りの設備は整っている。郵便局もあった。西側の部屋からは、アンガラ川がよく見える。ロビーには警備員が2~3人ウロウロしているが、くたびれた格好をしているので警備員に見えないかも知れないので要注意。ちなみに手荷物一時預かり所は「Камера Хранения」で、入り口から向かって左側にあり、ヨボヨボのおじいさんが管理している。ロシア語表記の小さなプレートがあるだけなので分かりにくいが、チェックアウトののち列車の出発時刻まで時間があるようなら、ここに預けて街へ出よう。
 
 
 
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